旅先の思い出のーとぶっく

自分の人生を旅先での出会いが変えてくれた。今度は僕が変える番です。

【東日本大震災から8年半】大きく変わる直前の被災地・陸前高田を訪れて思ったこと

2019年9月5日、陸前高田に行ってきました。

自身4回目となる陸前高田訪問です。

何度も被災地を訪れることで、

ここは前回来た時よりも風景が大きく変わっているなあ、とか、

ああ、ここはあまり変化していないのかなあと思うものです。

 

比較をすることで、津波を受けた被災地が、

再生・復興に向けて変わっていく様子が目に見えてわかるので、とてもうれしいものです。

 

しかし、今回の訪問では今まで見た中で一番といいますか、

3月の半年前に訪れた時とは”町が変わろうとしている”というのが目に見えてわかるほど

大きく変わっていました。

 (下部にもリンクを載せてあります)

 

 

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奇跡の一本松が目的地なのですが、

例によって、盛から奇跡の一本松には止まらないBRTに乗車したので、
陸前高田駅で下車。

あれ、駅前のスーパーの隣にこんなのありましたっけ…

いきなり驚かされてしまいました。

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セブンイレブンから見た景色。

まあいまだに何もない所で工事が続いているのですが、

白い屋根の建物が建ったり、稲が生えたりと三月とは全く雰囲気が異なりました。

あの白い建物については後述します。

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(2018年3月)

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(2018年9月)

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 ちなみにこのあたりのかつての姿はこんな感じ。

変わってないようで大きく変わっていることがよくわかるかと。

 

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とはいえ、宅地の予定地には雑草が生い茂ってしまいました。

津波を受けて土が海水を吸っていたら草も生えないと思うので、

土の中の塩分は取れているということでしょうが、

家がほとんど建っていないということも相まって、

この姿を見るとなんだか虚しくなります。

 

そこから半年前と同じルートを辿って歩いていたのですが…

 

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あっ()

道が変わってるんですね…

この先はまさかの行き止まり。

この時は知らなかったのですが、BRTの経路まで変わったらしく、道の駅高田松原沿いのルートに変わってたそうです。

仕方ないので引き返すことに。下の写真の場所からの定点撮影はできないんですね。

訪問4回目ということもあって完全に油断してました。もっと下調べするべきでした…

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気を取り直して駅を通り越して歩くと、護岸整備をしていました。

実は、ここまで近くではっきりと工事の様子を見たことはなかったので衝撃的でした。

今回は見られませんでしたが、以前はいたるところで土嚢が大量に置かれていたので

こういう作業で土がたくさん出てきたのでしょう。

 

それにしても、8年半経ってもなお、街づくりというよりもこのような地盤の工事をしている様子があちこちで見受けられました。

もちろん地盤を固めることは大切ですが、

気仙沼の市街地に比べるとあまりにも街が新しくなるスピードは遅い。

それだけ被害が大きかったということですが…

まだまだ復旧・復興にはほど遠いと言わざるを得ません。

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元・道の駅高田松原です。

現在は閉鎖中。ご覧の通り建物が崩壊してしまいました。

しかし、ここは9/22に震災の伝承館としてリニューアルオープンすることになりました。

気仙沼階上にある伝承館にも行きましたが(後日アップします)、

幸か不幸か被害が少しずつ消えている中で震災のことを後世に残すことはとても大切だと思います。

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(2018年9月)

1年前は白い壁でおおわれて、工事真っ最中でした。

1年でここまで変わるもんなんですね…感動しました。

 

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稲が美しく色づいていましたが、まさかのピンボケorz

奥の橋はBRTの専用道路でしょうか。

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橋の上で見つけた看板。

ここで半分、残りもう少し… 

どこから測ってるのよ!(笑)と思いながらひたすら歩きます。

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いや、なぜ道が水没してるの…

今現在は駐車場やBRT駅から奇跡の一本松までは

新たにできた橋を上って降りて、

水没した道を迂回しつつ、

グネグネと遠回りしながら行かないと行けないのですが、

先ほどの伝承館が出来たらそこから奇跡の一本松までは

一本道で行けるようになります。

あと2週間程度で完成させるために急ピッチで工事が進められていました。

 

例によって、工事の関係で一本松までのルートも大きく変わっていて、

さらには一本松正面の橋まで行くことも出来ず。

これまた下調べ不足でしたorz

 

近くで見れると思っていたので残念でしたが、

水面に移る一本松という、今まで見ることができなかった一本松を見ることができました。

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何もないような更地ばかりなのですが、

かつては何万もの松林があって、山やユースホステルなど周りの風景なんて何も見えなかったはず。

当然この一本だけが目立っていたわけがありません。

 

津波がたった一晩で松林を襲い、

松が一本だけ残るという"奇跡"が起きたということは

頭では理解しているはずなのに、

今でもどうしても信じられません。

津波の”恐ろしさ”という言葉では表しきれないものではないでしょうか。

 

そして、聞こえるのは周りで行われる工事の音と岩手県議会選挙の選挙カーばかり。

どちらもうるさいなあと思うのですが、

それが聞こえなくなると不気味なほどの静かさになりました。

 

水面にぼんやりと浮かぶ一本松、

今にも雨が降りそうな曇り空、

さらに若干の寒さも相まって、

今まで一本松を見てきた中で1番"冷たさ"を感じました。

 

どんよりした曇り空では、気が滅入ると言いますか、

なんだか辛いものがあります。

同行した友人の「震災前は奇跡でもなんでもない松林の中の1本だった」という言葉に

この状況に慣れてしまって忘れかけていた、

異常な被害の大きさを感じます。

 

この”冷たい”一本松を見ていると、

伝承館ができても、たとえ”復興”工事が終わっても、

本当にこの状況が変わることはあるのだろうか。

申し訳ないですが、初めてそんなことを考えてしまいました。

陸前高田にとっての試練はずっと続くのかもしれません。

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いずれにせよ、次来るときは町は大きく変わっていることでしょう。

再訪を誓って奇跡の一本松を後にしました。

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先ほども書きましたが、工事通行止めになっていました。

 まさかBRTのルートまでも変わっているとは思いませんでした。

奇跡の一本松駅も伝承館の中に作られるとのこと。

伝承館は気仙沼階上に出来ましたが、陸前高田の伝承館も9月22日に出来るそうです。

またオープンしたら行ってみようと思います。

ちなみに階上の伝承館にも行ったので、

また記事に書こうと思います。

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(2018年9月)

この砂ぼこりが舞う道路も変化することでしょう。

新たに来た時町はどんな姿を見せてくれるのでしょうか。

そう考えながら陸前高田を後にしました。

***

果たして、この状況で復興しているといえるのか、

それは自分にもわかりませんが、これが現実。

誰だってこんな現実から目をそむけたくなるでしょう。

それでも、被災地は行くたびに、ゆっくりと、しかし確実に変わっています。

 

何もかも無くなった絶望を乗り越えて、

新たに何かを生み出すというのはとても難しいことだとは思いますが、

それを明らかに実行している。

亡くなった方の分まで、被災した人の使命だという方もいますが、

本当に皆さんの努力の証だと思います。

 

もしかしたら、新たなまちづくりは終わることなく、いつまでも続くのかもしれませんが、

それはそこまで大きな被害の中で、被災した絶望を乗り越えた人々の努力があったことを忘れないように。

悲しい悲しいと簡単によそ者が言うことなんてできません。

ただの大学生の私にできることは限られているでしょうが、

これからも何度も何度もずっと訪れて応援しようと思います。

また東北を訪れる時が、早くも楽しみです。

 

閲覧ありがとうございました。

かつての陸前高田訪問記もありますので、よろしければぜひご覧くださいませ。

 

 

↓かつての陸前高田訪問記↓

ikeeki.hatenablog.com

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