旅先の思い出のーとぶっく

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【祝・常磐線全線運転再開決定】最後の不通区間の富岡~浪江間の代行バスに乗車、廃炉資料館を見学し原発について学ぶ 2019/9/4

つながる!常磐線

東日本大震災における福島第一原発の事故で不通となっていた常磐線
その常磐線で最後の不通区間となっていた富岡~浪江間が、
2020年3月14日のダイヤ改正
特定復興再生拠点区域として避難指示解除となり、運転再開することとなりました。
地域住民の方も住むことができ、新しい生活を始められると期待されています。

今回は9月に訪れていた富岡~浪江の代行バス乗車記と、

富岡町に作られた廃炉資料館の見学記録を紹介いたします。

 

富岡町を散策、人気(ひとけ)のない異様な街

 富岡駅へ20190924122433 20190924122348

富岡駅到着直前の車窓の様子です。

富岡周辺は前日の雨のため濡れていましたが、かつてたくさん積まれていた除染の土嚢はほとんどなく。
除染作業はもうほとんど終わって、次は新たな建物を作る段階に入ったのではないかと思います。

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立派な駅になった富岡。

駅前は工事が進められていてたくさんのダンプカーが走っていました。

ここに10両の特急が来るといわれても何となく実感がわきません。

これが日常となって初めて復興へ向かうといえるのでしょうか。

富岡駅周辺を歩いてみる

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富岡町は避難区域ということもあって

町を歩けるの?という声もありそうですが、

放射線量は基準値より低いですし、普通に歩けます。

目的地である廃炉資料館にも徒歩でのアクセスが可能と記されていました。

実際に歩いている人の姿はほとんど見られなかったわけですが…

ただし国道6号線は自動車以外通行禁止で、

窓を閉め切らなくてはならず、そこは当然ながら徹底されているように感じました。

廃炉資料館で原発について学ぶ、想像以上にわかりやすい展示

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廃炉資料館にやってきました。

富岡町福島第二原発があり、原発の町として有名でした。

富岡の第二原発は無事でしたが、双葉町の第一原発は被災してしまい

帰宅困難区域として、一時期は立ち入り禁止となってしまいました。

 

ここでは事故を起こしてしまった東京電力が作った博物館で、原発のことを学ぶことができます。

 

そもそも原発とは、簡単に言うと、

ウランの核分裂を起こして熱エネルギーを発生させ、それを電気にするという最先端技術の発電です。

ウランはあらゆるところにたくさんあります。

火力発電のネックとなる燃料枯渇問題はなく、物を燃やすこともしないので二酸化炭素など温室効果ガスは発生しません。

しかし、原発最大のネックは、

ウランが核分裂を起こす「臨界」ときに、放射線を発生させること。

X線やCT検査・がんの放射線治療時のみならず、大地や宇宙から食べ物にも放射線は含まれているので、

私たちは普段の生活でも、年間2.1ミリシーベルト(以下”mSv”と表記)程度は被ばくしています。

普通の放射線計測機はマイクロシーベルトで測定しているので、

2100マイクロシーベルトですね(以下μSvと表記)。

シーベルトとは、放射線が人体に与える影響の度合いを表す単位のことです)

 

そのため、放射線の「有無」に関しては問題ではありません。

問題は被ばくした時の放射線の「量」です。

一般的に日常生活において年間1mSv以上被ばくすると若干がん死亡率などのリスクが上がるという感じではあります。

0.1μSv/h×24h×365日=876μSv/年=0.876mSv/年

実際は富岡町はもう少し低いですし、韓国のソウルはこれよりやや高いくらいですから、

これなら問題ないといえるのではないでしょうか。

 

福島第一原発では、原子炉に送水ができずを制御できなくなったので、燃料が発熱し原子炉が水素爆発。

原子炉の中の放射線が大量に外に漏れだしてしまいました。

街の中を普通に入ることすらできず、

帰宅困難区域になってしまいました。

(知識があいまいになってしまった…間違いとかあった田指摘していただけると嬉しいです)

さくらモールとみおか

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近隣にはさくらモールとみおかというショッピングモールがありました。

スーパーやドラッグストア、ホームセンターにフードコートがあり、

近隣に住む方が日常の買い物する際は、ここに集まってくるようになっていると思います。

はっきり言って町には人気がほとんどなかったのですが、

ここではとてもたくさんの人が買い物していて、”街”としての存在を感じました。

正直に言うと買い物できるところがいわき市の他にはここしかないという裏返しかもしれませんが…

復興の際に一番重要なことは”人”がいることだと思います。

このような多くの人が集まる拠点があるのはいいことですね。

 

ちなみに、18年の富岡駅前の散策記はこちら↓

ikeeki.hatenablog.com

富岡~浪江 代行バスに乗車 考えられない光景に愕然

代行バス乗車

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富岡駅まで戻って代行バス北へ。

浪江駅行きのバスに乗車。

夏休みということでバスは混雑していましたが、

乗務員さんの計らいで乗務員用の座席を空けていただきました。

東北人らしい飾らない優しさ、好きです。

車窓から見える衝撃の光景

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それでも町の中を走っていると、

道路から隔離されたお店、

通行認証をして一部の人しか通れない道、

自動二輪車、原付、歩行者の通行禁止という

東京では考えられない光景が当たり前のように広がっていました。

福島第一原発周辺

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そしてしばらく走ると
福島第一原発が東側に見えてきます。
突如高圧電柱がそびえ立つ異様な光景から
発電所が近くにあることがわかります。
遠くから見ると確かにカバーがかかっています。

肉眼で見た限り、爆発した跡があったのは見間違いではないでしょう。

未来に向けてこの危険な原発とどのように共生していくのがいいのでしょうか。

今の私にはどうすることもできないのがもどかしい。

復興復興といわれていますが、この地域に住む方には課題山積となってしまうのでしょうか。

浪江駅前 静かな空間

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浪江駅に到着。いかにも国鉄らしい駅舎で好みです。

放射線量は富岡に比べて若干多いとはいえ問題ない範囲です。

原発付近ではやや多いなあという印象でしたが…

雑談もした優しい乗務員さんとここでお別れ。ありがとうございました。

乗り換え客で賑わうとはいえ、

富岡駅前に比べるとさらに人気はありませんでした。

そうか、0.2μSv/hということはずっとここに住み続けるということは難しいということなのでしょうか…

浪江~仙台 再び鉄道に乗車

浪江駅構内

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浪江から乗車したのは719系
浪江発着の列車はなくなるのでこの719系常磐線から撤退します。
この列車が走っているとはつゆ知らず。運よく乗れてよかったです。

ホームを突っ切る光景は仮設で見られることがあるかもしれませんが、 

工事中というのを見るとやはりつらいものがあります。

車窓の様子

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これは相馬の火力発電所

津波被害は受けたかと思いますが、現在は稼働していますね。

個人的には原発廃炉してほしいものですが…

もしそうなってこのような火力発電所になってしまうとすれば

それはそれで難しい問題です。

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山下駅周辺は津波被害を大きく受けました。
見るからに新しい町が作られていて、
気仙沼市街地の様子を思い出しました。
時代にあった新しい町が作られたのはいいことですが、その引き換えの被害はあまりに大きすぎました…

現在は線路は山側に移され、新しい街づくりも高台で行われたそうです。

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亘理周辺では三角屋根のビニールハウスが見えてきました。

亘理周辺は太平洋側の気候のため

温暖で冬も日照時間が長いこともあってイチゴの施設園芸が盛んな地域でした。

津波被害で壊滅的被害を受けましたが、

栃木県などライバルの他県から無償譲渡してもらったり、

ボランティアの協力もあってまたイチゴの栽培産業が復活したそうです。

自分もこのような慈善の心を持ちたいものです。

 
最初のころはボックスはすいていましたが、
山下辺りで一気に混雑しました。
仙台圏に近づくとそれはもう昼間だというのに大混雑。

何度も訪れた仙台ですが、常磐線の短い編成は不釣り合いな気がしました。
さすがは政令指定都市の大都会仙台。
東北はとても活気があるなあと改めて実感しました。

 

まとめ

いよいよつながる常磐線

沿線にはまだまだ課題は山積でしょうが、

三陸鉄道の全線運転再開を見届けた者としては、

鉄路がひとつにつながり多くの人の乗る機会が増えるということでしょうから、素直にうれしいです。
常磐線福島県がさらに復興していくことが楽しみです。

特急列車が仙台までつながるというのもうれしいもので。また訪れようと思います。

 

JR東日本公式プレスリリース・常磐線(富岡駅~浪江駅間)の運転再開について↓

https://www.jreast.co.jp/press/2019/20200117_ho01.pdf